「ベースラインに立ったら、もうだれの助けもかりられない。ベースラインに立ったら、もうだれを頼ることもできない。ベースラインに立つまえに、どんなトレーニングを積んできたか。テニスは、それをくらべあう闘いなんだ。」
半年ぶりのテニスコートだった。
きちんと整備されたクレーコートが3面。わたしたちがボールを追いかけていたころと少しもかわらない端正な表情を見せている。
春の陽射しを映して、ツヤツヤと輝いているこのコートのうえで、きょ年のいま頃わたしはサーブ練習を繰り返していた。
中学、高校、大学とテニスをつづけ、そのまえの年にはもう少しでインターカレッジに出場できるところだった。それが夢に終ってしまったのは、予選のファイナルゲーム、その最も大事なところでフォールトをつづけてしまったせいだった。自分がそれまでいちばん頼りにしていたプレーに、肝腎なところで裏切られたのだ。
女の子にしては背の高かったわたしは、それまでサーブはむしろ得意な方だった。それだけにショックは大きく、一転してサーブが最も苦手なプレイになってしまった。練習しても練習しても一向に変化はなかった。ますますサーブすることが怖くなっていった。
ただサービスコートにボールを入れることだけで精一杯になり、まったく勝てなくなってしまっていた。
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